2ntブログ

2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ?
作者:不明

こころ



ふと魔が差して、女を抱く腕に力を込めた。
女は短く喘いだものの、それ以上は何も言わない。

ならば何か吐かせてやろうと、掴んだ胸に歯を立てた。
今度は少し、苦しそうな表情を見せただけで、しかし咎めることは無かった。

それならば。

次第に自棄になって、その日は乱暴に女を犯した。
完全に征服した後に女の顔を見ると、何か物言いたげな目線を寄越しただけで、そっと睫毛を伏せた。


何故、こんなことになってしまったのだろうか。
初めて会ったときは、単純に良い女だと思った。
次第に言葉を交わし、行動をともにする内に、欲しいと思った。
そして女を抱く度に自分に心が無いことは判っていたが、次を求めずにはいられなかった。

―――そもそもこの女が自分の誘いを断るはずがないのだ。

その答えはあまりにも明確だった。
もしも王になどならなかったら、この女は私に全てを呉れていただろうか。
それとも。


こみ上げる自嘲を抑えれきれない。
いつもより辛そうな顔をする女を胸に抱いて、目を閉じた。



夜が明けるまでは、まだ時間が掛かる。

2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ
作者:948 様


臥牀の中、上半身だけ背凭れに凭れて、李斎はそれを見つめていた。
黒銀の細工の美しい腰帯の一端。
それは鋭く断ち切られて、血で汚れていた。
「主上……驍宗様」
その帯の残骸に頬を寄せる。
眼を閉じれば即座に蘇る、その美しい影。
剣を振り上げるしなやかな肢体。
流れるように舞う白銀の髪。
涙が頬を伝った。
ああ、私はまだあの人と繋がっていられる。
そう思うだけで、胸の中に熱いものが広がった。
一度は抱かれたあの力強い腕を思い出すと、頭の芯が蕩けるようだった。
熱くて、高く屹立した宝重。
それが李斎の中に入ってきた時の感動は今も忘れられない。
褥の中で驍宗は言ったのだ。
私の傍に来い、と。
自分の傍らで働け、と。
だから、迷わなかった。
紅玉の瞳に見つめられて、背中に回された無骨な指が温かくて。
突き上げてくるその力強さに焦がれて。
そうして李斎は、自分の命運を驍宗に預けたのだ。
驍宗は、必ず生きているはず。
そう、信じているから。
早く、早く逢いたい。
誰よりも崇敬している、愛しい御方。
驍宗に会えれば全てが解決するような気がした。
戴の国も救われ、泰麒と共に、また幸福な時が戻ってくるような気が。
「主上……戴を、いいえ……私をお見捨てにならないで下さい」
呟いた声は誰も聞いてはいないけれど、驍宗にだけは届いてほしかった。
後から後からまなじりからこぼれ落ちる涙が止められない。
独り、異国の褥の中で。
左手に帯を包み込むようにして、李斎はただ独り驍宗を想う。
もう一度あの腕に抱かれることが叶うなら、
利腕を失ってまで慶に来たことを、後悔なんてしないから。  

2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ?
作者:不明




 指に髪を絡め、巻きつけて少し、引っ張ってほどく。
 指先を髪の中に入れ、頭皮を探るように、ゆっくりと撫でた。
 驍宗はそうしながら、李斎の表情を観察した。
 居心地悪そうに、榻に座っている李斎は、驍宗が自分の顔を見ている事に気付くと、顔を反らした。その顔がいつになく、赤い。
 驍宗は、ぐいっと、李斎の肩を引き寄せ、抱き寄せた。身体を寄り添わせ、驍宗は李斎の髪を指で梳いた。
 肩や背中に流れるままの赤茶の髪が、驍宗の手によって、時折、跳ねるように踊る。
 李斎の顔は、驍宗の胸に埋められていたが、髪から見え隠れしている耳朶がほんのりと赤く染まっている。

 言葉もなく、ただ、髪を梳くひととき。
 それは、最近、見つけた驍宗のお気に入りの時間。






     ~了~











 音もなく、ゆっくりと伏せられた瞼にひとつ。
 そして、小さく震える睫毛を唇に感じながら離れ、もうひとつの瞼にも。
 頬に、額にと、驍宗は唇を落としていく。
 李斎の唇には触れない。
 いくつもの触れるだけの優しい口づけを落とし、驍宗は李斎の背に指を這わせた。
 李斎の髪が揺れ、驍宗は李斎が小さく身じろいだ事を知った。
 李斎の額が驍宗の肩口に押し付けられ、李斎は驍宗の背に腕を回した。
 驍宗は、李斎の髪を掻き揚げ、耳朶にかけ、耳を露にし、そっと唇を落とす。
 李斎は驍宗の衣をぎゅっと掴むと、背伸びして、驍宗の頬に唇を掠めるかのように口づけた。
 驍宗は小さく笑うと、李斎の顎を捉え、唇を合わせた。

 二人の唇は、次第に同じ熱を帯び、そして、名残惜しげに離れた。
 唇が離れると二人は顔を見合わせた。
 驍宗が笑うと、李斎は恥ずかしそうに小さく笑う。
 その微笑みには、一点の曇りがなかった。驍宗はその微笑みを見て、もう一度、李斎の唇に口づけた。今度は、重ねるだけの優しい口づけを。






     ~了~











 李斎の手が、何かを求めるかのように天井に向けて伸びた。
 しなやかな腕の先の指は、女の手らしくはなかった。
 ある程度の身分の女が必ずするような、爪先を磨いたり、染めたりという手入れは行っていない。それどころか、硬い指に、短く切りそろえている爪だった。
 驍宗は、その手を捕らえ、敷布に押し付けた。
 小さく溜め息を吐き、李斎は驍宗の指と自分の指を絡め合わせた。
 敷布の上で、二人の手が、居場所を求め合うかのように動く。
 驍宗が李斎の鎖骨に強く、唇を押し当てると、李斎は、息を飲み、切なげな吐息を漏らす。指に力が入り、所々に血が通っていないかのように白くなった。
 絡めた指の骨が軋み、小さな痛みを漏らす。
 だが、驍宗はその指を解かず、李斎のするがままに任せた。
 快楽に身を沈めておきながら、唇を噛み締め、耐えようとする李斎が唯一、反応を露にしている指が、知りたかった。

 絡めた指が、李斎の快楽の物差し。






     ~了~

2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ?
作者:不明


06 ほのかに香る




一人になった寝台の上に仰向けに転がり、ぼうっと彼方を見上げていた。
投げ出された身体は自分で思うよりも疲れているのだろう、寝返りを打つことすらたまらなく億劫で、女はそのままの姿勢でただ瞼を閉じたり開いたりを繰り返していた。
何も纏わない肌に包まった絹の冷やかな感触が心地良い。
伸ばした指が彼女の筋の取れた肢体に触れて静かに落ちた。

まだ熱が残っている。
思い出した途端じわじわと熱くなる頬を誤魔化す為に女は再び衾の中に潜り込んだ。
じっと、産まれたばかりの獣のように身を小さく埋めながら、重い瞼を閉じ内奥から幽かに響くその音に耳を傾けていた。


―――とうとうこの一線を越えてしまった。

それは彼女が最も恐れていたことだった。
過度の寵愛を受けることは朝の中で要らぬ荒波を立てる要因になりかねない。
それが分かっているから、どんなに苦しくても己の築いた壁を超えないようにと思っていたのに。
女は後悔していた。
あの男の甘美な言葉にまんまと酔わされて痴態を晒したことが愚かしいのか。
決して知られてはならないと堅く誓った本心などとうに知れていたことが悔しいのか。
それでも目を閉じると思い出すのはあの男の声だった。
それも、常とは―――聡明で威風堂々と座す、全臣民から崇拝される彼の本来の姿とは違う、色を孕んだ甘い囁き。
女は包まった衾の中で己の喉元を強く抑えた。
心音と似た速度で迫る奇妙な足音は、彼女自身も気付かない内に彼女の心を捕らえていた。

臣下として相応以上にあの男に近付くことは玉座を汚すことにはならないのか。
(だから周りの中傷や根拠のない噂を恐れるのだろうか)
この背徳者、と指をさされることが怖いのか。
(それはあの男を貶めることにはならないのだろうか)
――――でも、私が本当に恐れていることは……?

女は目を閉じてゆっくり息を吐いた。
次第に苦しくなる呼吸は間隔の狭まる動悸を伴って彼女を暗沌とした恐怖へ叩き落とす。
もはやどんなに留めようともがいても、溢れてくる考え達を抑えきれなかった。


私が恐れていることは。
あの男の戯れに現を抜かして、ようやく手にした王師将軍の椅子を失うこと?
ろくに職務を果たせなくなって、あの男を失望させること?
一時の戯事に飽いたあの男が、私ではない誰かを抱いてしまうこと?

私が恐れていることは。
私が恐れていることは。

私が恐れていることは、どうしてあの男のことで溢れているのだろう。




弾ける泡の様に導き出された答えは驚くほど単純で、女は声を失った。
「本当に…」
自分でも呆れるほどに、気が付けば彼のことを想っている。
女は苦く笑って、少しだけ泣いた。

2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ?
作者:不明

09 麦畑の真ん中で




もう何度、彼女の姿を見ただろう。


白銀の甲皮を身に纏い腰には紅玉の石が光る剣を携え、しっかりとした足取りで歩く。
その表情の凛としたこと。

ああ、そうだ。
私はこれを手に入れたかった。


やがて近付いてきた女が私の前で傅いた。
皮甲の擦れる音が小さく響く。
彼女は深く叩頭したまま、膝を付いたまま動こうとしない。
地に垂れた髪が泥に濡れるから顔を上げるようにと促しても、一向にその気配を見せなかった。
何度言っても頭を垂れたまま。
随分長い時間そうしているものだからぬかるんだ地面から吸い上げられた汚水が彼女の朝焼けに似た赤の髪に染みこんでいった。
みるみるうちに泥褐色に滲むその異様な光景に私は目を見張った。
妙な胸騒ぎがして女の肩を強く掴んで無理矢理抱えあげた。

女は泣いていた。
声も出さずにただ静かに泣いていた。
噛み締められた唇に赤いものが染みていた。
乾いた唇から発せられる嗚咽にも似たその叫びを私は聞くことが出来ない。
酷く震えた顔立ちに最早彼女の面影は無く、その異形は咽びながら両の手で私の腕を掴んだ。
間髪付かずに突き出された上腕が着物を切り裂き、肉に食い込む。
左肩に激痛が走った。
尋常ではないその痛みに気を取られた一瞬、狂った足元は掴み合った我等を奈落に突き落とす。
新月よりも深い暗闇の中で己の左肩に喰い込む彼女の右腕を見た。
次に顔を上げた時には異形も女も姿は無く、その残骸だけを残して音も無く消えた。



「………上、…主上、いかがされました?」
額に溢れた汗を拭う、その左手。
日々の剣の鍛錬で培われてきたのだろう、小さな傷を幾つも残したいつもと変わらない彼女の手。
「……―――――」
常に無く戦慄いた顔で息を切らす男に女は驚いている様だった。
それを誤魔化すように忙しなく汗を拭う彼女の指から伝わる体温に安堵して男は大きく息を吐いた。
「お加減はよろしいですか?…酷く、うなされていた様ですが…」
上下した息が一しきり落ち着いてようやく男は身を起こした。
彼以上に真っ青な顔をして男の背を擦る女の顔に涙はない。

「…いや、…何でもない…」
女を胸に抱えて、無くなった肩を撫でた。
縋るように抱えて、もう一度息を吐いた。




(06.11.28.update)

| TOP | NEXT >>