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2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ
作者:948 様


臥牀の中、上半身だけ背凭れに凭れて、李斎はそれを見つめていた。
黒銀の細工の美しい腰帯の一端。
それは鋭く断ち切られて、血で汚れていた。
「主上……驍宗様」
その帯の残骸に頬を寄せる。
眼を閉じれば即座に蘇る、その美しい影。
剣を振り上げるしなやかな肢体。
流れるように舞う白銀の髪。
涙が頬を伝った。
ああ、私はまだあの人と繋がっていられる。
そう思うだけで、胸の中に熱いものが広がった。
一度は抱かれたあの力強い腕を思い出すと、頭の芯が蕩けるようだった。
熱くて、高く屹立した宝重。
それが李斎の中に入ってきた時の感動は今も忘れられない。
褥の中で驍宗は言ったのだ。
私の傍に来い、と。
自分の傍らで働け、と。
だから、迷わなかった。
紅玉の瞳に見つめられて、背中に回された無骨な指が温かくて。
突き上げてくるその力強さに焦がれて。
そうして李斎は、自分の命運を驍宗に預けたのだ。
驍宗は、必ず生きているはず。
そう、信じているから。
早く、早く逢いたい。
誰よりも崇敬している、愛しい御方。
驍宗に会えれば全てが解決するような気がした。
戴の国も救われ、泰麒と共に、また幸福な時が戻ってくるような気が。
「主上……戴を、いいえ……私をお見捨てにならないで下さい」
呟いた声は誰も聞いてはいないけれど、驍宗にだけは届いてほしかった。
後から後からまなじりからこぼれ落ちる涙が止められない。
独り、異国の褥の中で。
左手に帯を包み込むようにして、李斎はただ独り驍宗を想う。
もう一度あの腕に抱かれることが叶うなら、
利腕を失ってまで慶に来たことを、後悔なんてしないから。  

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