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2ch/十二国記エロパロ/驍李

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スレッド:2chエロパロ?
作者:不明

09 麦畑の真ん中で




もう何度、彼女の姿を見ただろう。


白銀の甲皮を身に纏い腰には紅玉の石が光る剣を携え、しっかりとした足取りで歩く。
その表情の凛としたこと。

ああ、そうだ。
私はこれを手に入れたかった。


やがて近付いてきた女が私の前で傅いた。
皮甲の擦れる音が小さく響く。
彼女は深く叩頭したまま、膝を付いたまま動こうとしない。
地に垂れた髪が泥に濡れるから顔を上げるようにと促しても、一向にその気配を見せなかった。
何度言っても頭を垂れたまま。
随分長い時間そうしているものだからぬかるんだ地面から吸い上げられた汚水が彼女の朝焼けに似た赤の髪に染みこんでいった。
みるみるうちに泥褐色に滲むその異様な光景に私は目を見張った。
妙な胸騒ぎがして女の肩を強く掴んで無理矢理抱えあげた。

女は泣いていた。
声も出さずにただ静かに泣いていた。
噛み締められた唇に赤いものが染みていた。
乾いた唇から発せられる嗚咽にも似たその叫びを私は聞くことが出来ない。
酷く震えた顔立ちに最早彼女の面影は無く、その異形は咽びながら両の手で私の腕を掴んだ。
間髪付かずに突き出された上腕が着物を切り裂き、肉に食い込む。
左肩に激痛が走った。
尋常ではないその痛みに気を取られた一瞬、狂った足元は掴み合った我等を奈落に突き落とす。
新月よりも深い暗闇の中で己の左肩に喰い込む彼女の右腕を見た。
次に顔を上げた時には異形も女も姿は無く、その残骸だけを残して音も無く消えた。



「………上、…主上、いかがされました?」
額に溢れた汗を拭う、その左手。
日々の剣の鍛錬で培われてきたのだろう、小さな傷を幾つも残したいつもと変わらない彼女の手。
「……―――――」
常に無く戦慄いた顔で息を切らす男に女は驚いている様だった。
それを誤魔化すように忙しなく汗を拭う彼女の指から伝わる体温に安堵して男は大きく息を吐いた。
「お加減はよろしいですか?…酷く、うなされていた様ですが…」
上下した息が一しきり落ち着いてようやく男は身を起こした。
彼以上に真っ青な顔をして男の背を擦る女の顔に涙はない。

「…いや、…何でもない…」
女を胸に抱えて、無くなった肩を撫でた。
縋るように抱えて、もう一度息を吐いた。




(06.11.28.update)

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