君のことをもっと知りたかった。
でも知れば知るほど、この僕が知ることができるのは「今の」君だということ、そして今の君にとってあの男がとても大きな存在になっていることに気付かされる。あるいは僕の知らなかった「その先」の時点で、既にそうだったのかもしれない。
ずっと知りたかった。前の僕が君に付き纏われていたあの時に、苛立ちとは別にわずかに湧いた不思議な感情。強化人士にとっては不要なはずのもの。あの時は、結局未練と綯い交ぜになってその正体を知ることはなかったけど。
何の因果か再び同じ身体に生を受け、未来を変えられると知った時、自分を突き動かした原動力。
僕は今に至り、やっとそれを理解した。
恋、だろう。
それはとても遅い答えだった。だって君は既に、彼の隣にいるのだから。
でも、僕はそれで構わない。今の、そしてこれからの君をもっと知れる。その時点で、僕は「勝利」を手にしていた。
幸せになる君の姿を、ずっと見届けたい。そのためなら君たちのことを全力で守る。
……鬱陶しい、って言われるかな。
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