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家計を助けるために田舎から出てきて、このお屋敷に住み込みで仕えています。
旦那様はとても優しい方で、私が粗相をしても「大丈夫かい?ゆっくりと慣れていけばいいからね」と叱るでもなくまるで自身の娘を心配するかのように接して下さいます。
多少の家事しかできず、文字が読めない私に読み書きや計算を教えて下さってもいます。
「他のメイドには黙っているんだよ」と、時々お給金とは別に包んでも下さいます。
ある日、どうしてこんなに私に目を掛けてくれるのかと尋ねてみました。
旦那様は目を閉じしばらく思案した後に「来なさい」と私を連れて旦那様の私室の奥、メイドは立ち入らせない部屋へと入りました・・・
そこは、女の子の私室、というように見えました。ちょうど私と同じくらいの子が好みそうな調度品で整えられたお部屋でした・・・
そして机の上には写真立てが、旦那様の面影を残しつつかすかに私にも似ている女の子のお写真がありました・・・

っていうところからの背徳エロ展開ください


紫檀で作られた写真立ての中には、可愛らしい銘仙の着物に袴姿の女の子が少し寂しげな笑顔で佇んでいました。
「私の娘だよ・・・君の年になる前に亡くなってね・・・」
旦那様は写真立てを手に取ると愛おしそうに写真を撫でながら呟きました。
「この写真は女学校に行く前にどうしても記念に撮っておきたいと言ってね・・・恐らく自分はそこまで長く持たない事を分かっていたんだと思う。」
今にも目から涙が溢れそうになる旦那様を見て、私の胸は締め付けられるように痛くなりました。
私のような者が慰めの言葉を掛けられる訳もなく、ただ黙って旦那様の手を握る事しかできませんでした。
部屋を見渡せば隅々まで掃除が行き届き、埃や塵など一つとして見当たりません。
旦那様がどれだけお嬢様を大切にされいたのかが伝わりました。


その時、私はお屋敷に来た日に女中頭に言われた事をふと思い出しました。
(この部屋は旦那様の特別なお部屋ですから勝手に入らないように)と。
「あの・・・この部屋のお手入れは旦那様がなさっているのですか?」
思わず口にしてしまった言葉に旦那様は小さく頷きました。
「ああ・・・この部屋だけは他の誰にも入らせたくなくてね・・・娘が生きていた頃を知っているのは私だけだから。」
旦那様は毛ばたきを手に取ると小物や机の上を丁寧に撫で上げ、その一つ一つを慈しむように眺めていました。
繊細な一輪挿しや宝石箱に入ったブローチなど、それを買った時の思い出話を私に聞かせながら。
楽しかった思い出話は、やがて悲しみと苦渋が混ざり始め、旦那様は次第に言葉少なくなっていきました。
… 18無題Nameとしあき 20/01/20(月)22:31:29No.19345406そうだねx11
沈黙の重苦しい空気が私達を包み、肩を震わせ涙を堪えている旦那様を見ているのが辛くなった私は思い切って声を掛けました。
「あの・・・このような大切な場所に私が居てはご迷惑かと・・・退室してもよろしいでしょうか?」
そう云って部屋を出ようとした私ですが、旦那様は私の手を掴み引き止めました。
振り返った旦那様の目には今にも涙が溢れそうに潤んでいました。
旦那様はポケットからハンカチを取り出して目元を拭うと私の手を引き寄せて言いました。
「いや、済まない・・・恥ずかしい姿を見せてしまって。ここに連れて来たのは君にこの部屋の手入れをしてもらいたくてね。」
「え・・・でも・・・私のような者が・・・大切なお嬢様のお部屋に入るのは・・・」
突然の旦那様の言葉に私は戸惑いました。
部屋の家具はおろか、調度品の一つをとっても高価な物ばかり。
何か粗相があってはと心配する私に旦那様は言いました。

「いや、君だからこそ頼みたい・・・私も仕事の合間に手入れをするのが大変だし、何よりも娘に似ている君にしてもらえると嬉しいのだよ・・・」
旦那様はまるで自分の娘のように私の髪を撫でながら懇願してきました。
「君がこの部屋の手入れをしてくれるとね、何だか娘が生き返ったような気がするのだよ。だから私の事など気にせず、この部屋を好きなようにして構わない。この部屋に君が居て欲しいんだ・・・」
大切なお嬢様を失った旦那様の気持ちを思うと、私は無下に断る事が出来ませんでした。
私のような田舎者がお嬢様のような振る舞いなど出来るはずもないと分かっていましたが、旦那様の為になるならと受け入れる事にしました。
この時の私は、旦那様の心の慰めになるであろうと信じて疑わなかったのです。
まだ幼かった私に、その後に何が起きるかを知る由もありませんでした・・・

大鷹十三歳・・・
これは梅の蕾が膨らみかけた頃・・・春の目覚めが訪れる前の日の出来事でした・・・

あの日から私は普段の仕事の合間にお嬢様の部屋へ行くようになりました。
旦那様にお茶を出した後、お嬢様の部屋に入って掃除をするのが日課となったのです。
こうして私が働いている姿を旦那様は嬉しそうに目を細めて眺めていました。
長い間使われていなかった花瓶に花を生けると、旦那様はとても喜んでくれました。
そしてお嬢様が好きだった花の名前や花の生け方を教えてくれるのです。
私なりに考えて小物を置く場所を変えてみたりすると、旦那様はふむふむと頷いたりアドバイスなどをしてくれました。
今まで私の身の回りになかった物に触れるのが楽しくて、私も旦那様のお嬢様になった気分になりました。
ふと気が付くと、私は普段の仕事よりお嬢様の部屋にいる時間が長くなっていました。
心配になった私が旦那様に尋ねると意外な言葉が返ってきました。
「その事なら気にしなくていい・・・普段の仕事は他の女中にやらせれば良い。君には一日中ここに居て欲しいのだよ。」と・・・


そんな生活が続くようになってどれくらい過ぎた頃でしょうか・・・・
ある日、いつものようにお嬢様の部屋で掃除をしていた私に旦那様が声を掛けてきました。
「少し・・・頼みがあるのだが・・・」
いつもと違った様子の旦那様が私の傍らに立って言いました。
普段と違う声色に私は何か粗相があったのかと身を硬くしました。
「ああ・・・いや、その・・・こんな事を言うのは気が引けるのだが・・・・」
落ち着きのない旦那様の様子に私も困惑し、まさか暇を出されるのではないかと思うとカタカタと膝が震えました。
「あの・・・何か私に不始末があったのでしょうか・・・粗相がありましたらお詫びしますっ!」
私は感極まり、思わず旦那様にすがり付きました。
「いや、そうではなくて・・・頼みと云うのはだね・・・・」
旦那様はしがみついた私の肩を優しく包み、膝を付いて話し始めました。
「君が嫌でなければの話だが・・・その・・・娘が着ていた着物を着てくれないだろうか?」と・・・


旦那様の思いがけない言葉に、私は安堵するのと同時に困惑しました。
お嬢様の着物を私などが着ても良いのだろうかと。
戸惑っている私に、旦那様は少し悲しい目をしながら言いました。
「女学校に上がる時の為に仕立てた着物が何枚かあるのだが・・・それを着る前に亡くなってしまってね。このまま箪笥の肥やしになるのでは着物も可哀想だから・・・」
旦那様は私を部屋の隅に置かれた和箪笥の前に連れて行くと引き出しを開けるよう言いました。
開けた時にふわっと樟脳の香りが広がり、中にはたとう紙に入ったままの着物が収まっていました。
旦那様はそれを取り出して広げて見せてくれました。
それは艶やかな紫色の錦紗の着物でした。
「こんな高価な着物を・・・勿体のうございます・・・」
「値段は関係ない・・・娘に似ている君だからこそ着てもらいたいんだ・・・」
今まで縁のなかった美しい着物と、樟脳と絹の香りが混ざり合った空気に、私は眩暈にも似た感覚に襲われていました。
「着てくれないか・・・?」
旦那様の言葉に・・・私は無言で頷きました。


「あの・・・着替えますから・・・席を外して頂けないでしょうか?」と云うと旦那様は静かに首を横に振りました。
「私が着せてやりたいのだが・・・駄目か・・・?」
その言葉を聞いた瞬間、羞恥で身体の芯が熱くなりました。
いくら旦那様とは云え、殿方の前で裸になるなんて恥ずかしい・・・
そんな私を見て旦那様は悲しそうな顔をして言うのです。
「娘は病弱でね・・・具合が悪い時は起き上がるのもやっとの事だった。だからいつも私が着付けを手伝っていたんだよ。何、悪いようにはしない・・・あの頃を思い出したいだけなのだから・・・」
私はその言葉を信じるしかありません。
それに女中と云う立場である以上、旦那様に逆らう事など出来るはずもありませんから。
「あの・・・この事は口外なさらないで頂けますか・・・・」
「もちろんだ・・・私と、君だけの秘密だよ・・・」
旦那様の手が私の髪と頬を撫で、その指先がブラウスのボタンを外していきました・・・
… 31無題Nameとしあき 20/01/21(火)00:27:03No.19346148そうだねx14
黄昏始めた西日が差し込む部屋の中で・・・気が付けば私は一糸纏わぬ姿になって旦那様の前に立っていました。
身体が震えるのは寒さのせいなのでしょうか・・・それとも羞恥から来るものなのでしょうか?
裸になってからどれほどの時間が過ぎたのかも分からないくらい、私の頭の中は真っ白になっていました。
旦那様は私を裸にしてから暫く眺めていました。
「ああ・・・君は本当に娘に似ている・・・まるで生き写しのようだ・・・」
喜びなのか恍惚なのか、溜息を漏らしながら旦那様は茜色に染まった私の身体を指一本触れる事なく見つめています。
「旦那様・・・お願いします・・・早く・・・着せて下さい・・・」
羞恥と寒さに震えながら、私は必死に旦那様にお願いしました。
でも旦那様は胸と恥部を隠した手をどけなさいと言うのです。
全てを見せないと着物を着せてあげないと。
私は鉛のように固くなった腕を恐る恐る下ろしました。
… 32無題Nameとしあき 20/01/21(火)00:54:43No.19346268そうだねx10
その時、寒さのせいでしょうか?私が小さなくしゃみをした時、旦那様は我に返ったようです。
私の身体の全てを見て満足したのか、旦那様は綸子の裾除けを私の腰に巻きつけました。
「恥ずかしい思いをさせて済まなかった・・・私の我侭を聞いてくれて感謝している・・・」
申し訳なさそうに話ながら旦那様は手際良く着付けを始めました。
淡い桜色の長襦袢を着せ、博多の伊達締めを結び、着物に袖を通し、慣れた手付きでおはしょりを作っています。
淡い鶯色の塩瀬の帯をキュッキュと音を立てながら締め、帯締めと帯揚げを結び上げて完成です。
あまりの手際の良さに私は少し驚きました。
着付けも苦しさを感じる事など全くありません。
それだけ長い間、お嬢様の着付けをなさっていたのでしょう。
旦那様のお嬢様に対する愛情が着物を通して伝わってきました。
… 33無題Nameとしあき 20/01/21(火)01:14:01No.19346354そうだねx11
「こっちに来なさい・・・鏡で自分の姿を見てごらん。」
旦那様に促され、私は大きな鏡台の前に座りました。
そこには今まで見た事のない自分の姿があります。
艶やかな着物に身を包んだ私は、少し誇らしく、そして恥ずかしそうに鏡の中で微笑んでいました。
「こんなに素敵な着物を着せて頂いて・・・ありがとうございます・・・」
私は旦那様にお礼を言いました。
「いや、礼を言うのは私の方だよ・・・この着物を着てくれて、娘もきっと喜んでいると思う。」
旦那様はそう言って私の髪を優しく撫でながら鏡に写った私の姿を目を細めて見つめています。
その時、旦那様は「あ、しまった」と言いました。
「済まない、足袋を忘れていたよ。」
私も始めての事で混乱していたせいか全く気付きませんでした。
旦那様は苦笑いして和箪笥の中からおろし立ての足袋を取り出すと、私に足を出すように言いました。
膝をついた旦那様が私の足を持ち上げ、愛おしそうに手で包み込みます。
「こんなに冷たくなってしまって・・・本当に済まなかったね・・・」
冷えたつま先が旦那様の手で温められていくのを感じて、得も言われぬ感覚に包まれました・・・


気が付けば、いつの間にか旦那様の唇が私のつま先を這いまわっていました。
突然の事に私も混乱しましたが旦那様は気にも留めず、夢中になってつま先を舐めているのです。
「旦那様・・・何をなさるのですか・・・おやめ下さい・・・そのようなところを、いけません旦那様・・・」
私が足を引こうとした時、裾が乱れて脚が露になると、旦那様の唇は更に上へと這い上がってきます。
下着も付けていない状態ですので、このままでは恥ずかしい部分が見えてしまいそうになり、私は慌てて裾を押さえました。
「旦那様、お願いします・・・これ以上は・・・」
「私は冷えたつま先を暖めているだけだよ・・・何を心配しているのだね?」
そう嘯く旦那様の瞳の奥に怪しい光が宿っている事に・・・私はまだ気付きませんでした。
足袋を履かせてもらった後、身体の奥で蠢き始めた感覚にも。

その日、私は夕食の仕度の直前まで旦那様の愛撫を受け続けていました・・・
… 37無題Nameとしあき 20/01/21(火)02:09:33No.19346554そうだねx11
それからというもの、旦那様は毎日のように私にお嬢様の着物を着るように言ってきました。
最初の時のように裸にしている時間は短くなったのですが、着付けをする時間が長くなってきたのです。
それは蛇が絡み付いてくるように、ねっとりと私の身体をまさぐりながら着付けをしてくるのです。
私のお尻を撫で回すように裾除けを付け、長襦袢を着る時は何度も襟の合わに手を差し入れながら直し、帯を締める時は身体を密着させながら・・・
そしてどういう訳か、足袋はいつも最後に履かせるのです。
もちろん、あの時と同じように・・・唇を使った愛撫を施しながら・・・
… 38無題Nameとしあき 20/01/21(火)02:10:04No.19346557そうだねx10
旦那様の目的が何であるのか分からないまま、私はその行為を受け入れるしかありませんでした。
その行為が何を意味するのか・・・それを知るにはまだ私は幼過ぎたのです。
身体の奥底から込み上げる衝動を理解する事も出来ず、ただ黙って旦那様の愛撫を受けるしかありませんでした。
いえ・・・黙る事など出来ませんでした・・・・
豪華なビロード製のソファーに座り、旦那様の唇による愛撫を受けて、私は淫らに喘いでいました。
旦那様の唇が足の指の付け根を這う度に身体が痙攣し、身体の奥底でとぐろを巻いた蛇が私の理性を食い尽くすのです。
いつしか私は、乱れる裾を押さえる事も忘れ、その感覚を貪るようになっていました。


そんな暮らしがどれほど続いたのでしょうか・・・
気が付けば私は他の女中さんとの会話も殆ど無くなりました。
私が旦那様に特別に目を掛けられている事が分かっているので、誰も私に話しかける事はありません。
そんなある日、女中部屋で寝ている時、女中頭が私に声を掛けてきました。
互いに背を向けたまま、他の人に気付かれないような声で。
「大鷹さん・・・起きてる?」
「はい・・・何でしょうか・・・」
「大体の事は分かっているから言わないけどね・・・怖くなったらいつでも逃げていいのよ。誰も貴女の事を恨んだりしないから・・・」
… 41無題Nameとしあき 20/01/21(火)02:38:08No.19346622そうだねx12
私はその言葉の意味を理解する事はできませんでしでも私の身を案じてくれる事だけは伝わりました。
「鳳翔さんは・・・旦那様の事で・・・何かご存知なのですか?」
「私も全てを知っている訳ではないの・・・でもね、貴女の身に何が起きているのかは分かっているの。だから心配しているのよ。」
「私はただ・・・旦那様に喜んでもらえれば、それで構わないと思っています・・・だから大丈夫です・・・たぶん・・・」
「そう・・・でもね、何か困った事があればいつでも言ってちょうだい・・・私達に出来る事があれば何でもしてあげますからね。」
「ありがとうございます」私はそれ以外に言葉が見つかりませんでした。
それ以来、私は自分の置かれた立場について考えないようにしました。


そう・・・私は女中・・・
田舎者で卑しい身分の生まれ。
女中として雇われているにも関わらず、こうして旦那様に可愛がってもらっている。
これ以上、何を望むと云うのでしょうか?
その大義名分の下に隠された物を、私は気付かないふりをしていました。
身体の奥底に隠された「おんなの衝動」に・・・
朝の仕事を終えた後、私はお嬢様の部屋に入り浸り、旦那様との蜜戯に溺れる身体になっていました。
つま先だけの愛撫は、いつの間にかその先にまで進み、私の最も恥ずかしい部分にまで及んでいたのです。
今ではお嬢様の着物だけではなく、旦那様は私の為に誂えた着物まで用意してくれるようになりました。
着付けと云う行為は今では前戯と同等となり、私は悦楽の声を上げ自ら脚を広げるような体になりました。
気が付けば、私はお嬢様の部屋に入るなり自ら着ていた服を脱ぎ捨て旦那様の愛撫を求めるようになっていたのです・・・
… 44無題Nameとしあき 20/01/21(火)03:10:30No.19346726そうだねx9
蕩けるように柔らかな錦紗の着物の裾を割り、旦那様の舌先が私の秘部に捻じ込まれ忙しなく動いている・・・
私は口を閉じる事も出来ずに淫らな声を上げ、幾度となく気をやりながら旦那様の頭を抑えつけていました。
身体から溢れる蜜は留まる事を知らず、それを旦那様が夢中で飲み干してくれる・・・
そのケダモノのような行為に溺れ、更に欲情し、蜜を溢れさせる。
もはやその先に何をすればいいのか・・・頭ではなく身体が答えを知ってしまいました。
他の人の前では恥ずかしくて言葉に出来ない単語を連呼しながら、私は旦那様の「それ」を求めているのです。
あの静かで優しかった旦那様の顔は跡形もなく、ギラギラとした眼差しは「雄」の顔になっていました。
… 45無題Nameとしあき 20/01/21(火)03:43:26No.19346825そうだねx12
数え切れない程の絶頂を迎え一休みしている時、私は旦那様の唇を貪りながら尋ねました。
「お嬢様の事を思い出す為に・・・着物を着せるのではなかったのですか?」と。
すると旦那様は着物の上から私の乳首を力強くつまみながら耳元で囁きました。
「ああ・・・そうだよ・・・こうしているとね、娘が生きていた頃を思い出すんだ・・・」
今までの私なら、その言葉を聞いておぞましさに身を震わせたでしょう。
でも今の私は、そのおぞましさよりも乳首の痛みと快楽の方が勝っていました。
「あっ・・・あ・・・旦那様は・・・お嬢様と・・・このような事を・・・何ていやらしい・・・」
「・・・私が妻と別居している理由は何だと思う?」
私は旦那様とお嬢様の禁忌を奥様に知られたからだと思いました。
でも旦那様の口から出た言葉は更におぞましいものでした・・・


あの日からどれほどの月日が経った事でしょうか・・・
私は今でもお屋敷で女中として働いています。
かつて居た女中頭の鳳翔さんも、他の女中さんも皆辞めてしまい、あの頃を覚えているのは私一人になっていました。
広いお屋敷を掃除するのは大変ですが、今ではすっかり慣れてしまい、先輩方に教わった仕事は一通りこなせるようになりました。
元々、旦那様が一人で住むこのお屋敷に、それほどたくさんの女中など必要なかったのです。
私はお屋敷の窓を拭きながら、あの賑やかだった日々を思い出していました。
思えば、何も知らなかったあの頃が一番幸せだったのかも知れません。
そう・・・何も知らずに溺れてしまえば良かった・・・
人の皮を被った獣として生きるより、その方が良かったのだと・・・
… 65無題Nameとしあき 20/01/21(火)20:17:53No.19350372そうだねx7
旦那様の口から語られた過去は凄惨を極めていました。
身の毛もよだつようなおぞましい出来事に、あの時の私はただ呆然とするより他に術はありませんでした。
何故、私をお嬢様の部屋に招き入れたのか・・・何故、私にあのような淫戯を仕込んだのか・・・
その理由を知った時、私は初めて「人の業」と云うものを知ったのです。

旦那様のお嬢様は実の子ではありませんでした・・・
奥様の不義密通により生まれた娘。
しかもそれは義理の父親・・・つまり旦那様のお父様の子だったのです。
あの時、旦那様は自身の過去について滔滔と話してくれました。
その背負いきれない重い罪を話す事で、私を道連れにしようとしたのかも知れません。


事の経緯を詳しく話すには旦那様の家系の事にまで及びますのでここでは割愛します。
ただ奥様の不義密通と云うのは義父様による一方的な物であったそうです。
奥様は義父様に陵辱された後、子を身篭りました。
身に覚えのない懐妊に旦那様は怒り狂い、奥様を執拗に責めたそうです。
ですが事の真実が明らかになると、旦那様は魂が抜けたようになってしまったと言っていました。
身内の恥ですから表沙汰には出来ず、実の親を罪に問う事も出来ないまま、堕胎の時期は過ぎてしまいました。
奥様は内密に実家に戻され、表向きには病気療養の為、診療所に行っている事にしていたそうです。
やがて奥様は可愛らしい女の子を産みました。
奥様はそれはそれは大切に育てようとしていたそうです。
娘さんを連れて旦那様の下へと帰る事は出来なくても、いずれは何処かへ養子に出すつもりでいたとの事でした。
ですが、その夢や希望は再びお父様によって破られようとしたのです。


ここで何故、お義父様が奥様を陵辱したのかが分かりました。
旦那様は正妻の子ではなく、妾の子だったのです。
しかも若い時に罹った病により、子種のない身体になっていました。
本来なら旦那様に家督を継ぐ権利などありません。
ですがお父様の他の息子さんが相次いで事故や病気で亡くなり、家の血が絶えてしまう事態に陥ったのです。
家督を継がせる子が亡くなった後、お父様は旦那様の奥様を陵辱し、その子供を旦那様の子として育てさせようと企んだのでした。
そしてある日、お父様は旦那様の所に来てこう言ったそうです。
「わしがせっかく孕ませてやったのに娘を産むとは何事だ!もう一度孕ませてやるから嫁を出せ!」と。
その言葉を聞いた旦那様は、その日の夜、ある決意と共にお父様の住むお屋敷へと出向きました。
… 75無題Nameとしあき 20/01/21(火)21:02:15No.19350778そうだねx7
旦那様は・・・お父様を殺しました。
その日の夜、旦那様は毒を仕込んだ酒を持ってお父様の下へと赴き、それを飲ませたのです。
奥様が陵辱されたあの日から、旦那様はいつかこうなる事を予想していたと言っていました。
実の親子でありながら、妾の子供と云う理由だけで虐げられた日々。
そして奥様への狼藉・・・堪えに堪えてきた糸が音も無く切れたと話していました。
旦那様は親戚に医者がいる事を知っていて、事の経緯を話し、診断書の偽造を約束していたそうです。
そして目論見通りに警察に悟られる事なく、お父様は急な病死と云う事で処理されました。
妾の息子とは言え、実の父親を殺した事に違いはありません。
旦那様は次第に塞ぎ込むようになったそうです。
その罪の意識から逃れるかのように、跡を継いだ家業に溺れている最中の事でした。
奥様が労咳で倒れたとの一報が来たのです・・・
… 76無題Nameとしあき 20/01/21(火)21:13:18No.19350872そうだねx6
嘘から来た真とは、この事を云うのでしょうか?
度重なる不幸に旦那様の心は粉々に砕け散っていったと思います。
奥様は本当に療養所に運ばれ、年老いた義母の下に残されたお嬢様を旦那様が引き取る事になりました。
自分の父親との間に生まれた忌むべき子・・・その父親を殺した息子・・・
本来ならば年の離れた兄妹と云うべき関係。
この時、お嬢様はまだ5歳を迎えたばかりでした。
こんなにも年の離れた兄妹など世間では考えられないように、旦那様もどうして良いのか分からなかった事でしょう。
思えばこの時から全てが狂い始めていたのだと、私は思いました。


一人でお嬢様を育てるのは無理な話である事は分かっていたので、旦那様は女中を雇う事にしました。
奥様もいない状態ですから家の中は雑然とし、散らかり放題になっていたといいます。
鳳翔さんや他の女中達がやって来て、ようやく人の暮らしが出来るようになったと。
小さなお嬢様は初めの内は寂しがって泣いてばかりだったと鳳翔さんも話していました。
旦那様はなるべくお嬢様に関わらないようにしていたそうです。
お嬢様も見知らぬ大人の男性である旦那様を警戒して、あまり近付こうとはしなかったようです。
女中達も内心ではただならぬ雰囲気を感じていたそうですが、それ以上の事に足を踏み入れないように気を遣っていたといいます。
お嬢様は実の母親のように鳳翔さんに懐き、鳳翔さんも娘のように可愛がっていたとの事でした。
ですが時を経て知恵が付くに連れ、旦那様を父親として認識していくのは致し方ない事でしょう。
旦那様も当初は愛憎入り混じった気持ちでお嬢様を見ていたと話してくれました。
… 85無題Nameとしあき 20/01/21(火)21:56:10No.19351200そうだねx4
健やかに育ち、美しくなっていくお嬢様を目の当たりにし、旦那様の心は散々に乱れていきました。
「世間的には娘であっても、真実は穢れた子であり、実の妹・・・そして私はその父親を殺した男。」
旦那様の心に掛かる重圧は日に日に重く圧し掛かっていました。
微かに父親として慕ってくるお嬢様に真実を告げる事も出来ず、かと云って娘として愛する事もできないまま・・・
親殺しと云う禁忌を犯しても拭い切れない罪の証、それがお嬢様でした。
この娘が生きている限り、私の悪夢は終らなかったと・・・
ぎこちない暮らしの中で、旦那様の心の歯車は気付かぬ内に欠け始めていたのだと思います。
あの日、旦那様の長い独白を聞きながら、私は旦那様の心の内を読み解こうとしていました。



それはお嬢様が12歳になった頃だと云います。
旦那様が自室で仕事をしている時、お嬢様が部屋に入って来てこう言ったそうです。

「お父さんは・・・私の事が嫌いなの?」
「いきなり何を言い出すんだ・・・仕事の邪魔だからあっちに行って鳳翔に構ってもらいなさい・・・」
「そうやっていつも私の事を遠ざけるのね・・・どうして・・・?」
「必要な物は全て与えているはずだ・・・何が不満なのだ?」
「私が欲しい物なんて何ももらっていませんっ!」
「だったら!何が欲しいのか言いなさい!何でも買ってやるからっ!」
苛立った旦那様が大きな声を張り上げると、お嬢様も負けじと声を上げました。
「優しくしてよっっ!」
その言葉で旦那様の心にガラスが砕け散ったかのような音が響いたそうです。
「お父さん・・・優しくてよ・・・」
そう呟いて泣くお嬢様を前にして、旦那様は身じろぎ一つできないまま見つめていたと・・・
… 94無題Nameとしあき 20/01/21(火)22:36:47No.19351411そうだねx6
「優しくできないのは・・・私の事が嫌いだから?それとも本当は私のお父さんじゃないから?」
そう言われた時の旦那様の気持ちを思うと、私は涙を堪える事が出来ませんでした。
ただ黙って旦那様の手を握り、その胸に顔を埋めて泣いていました。
禁忌の娘だと言えず、実の妹である事を伝えたとしてもお嬢様には理解できないでしょう・・・
むしろ、それを理解できるならば、お嬢様も正気ではいられなかったと思います。
その時、旦那様は何も言わずお嬢様を抱き締めたと言いました。
そうするより他に方法は無かったと。
真実を告げる事も出来ず、嘘を言う事もできないまま、無言でお嬢様を抱き締めていたそうです。
… 95無題Nameとしあき 20/01/21(火)22:56:16No.19351523そうだねx10
それ以来、旦那様は少しずつではありますが距離を縮めて行ったそうです。
それまで別々に摂っていた食事を同じ食卓で食べるようにしたと言っていました。
実の娘ではないにせよ、年頃の少女が喜びそうな物を買って与えみたり、呉服屋に連れて行き流行りの着物を仕立てたりと父親らしい事を始めました。
お嬢様も少しずつ打ち解けて、それまでは憚るように「お父さん」と呼んでいた声が、次第に明るくなっていったそうです。
それでも旦那様の心が晴れる事はありません・・・お嬢様が明るく笑う度に親殺しの罪が重く圧し掛かるのですから・・・
旦那様がお嬢様に優しく接するのは、過去の罪に触れないようにする為の擬態に過ぎないのです。
やがてその行為が歪んでいく様を、私は旦那様の腕の中で聞いていました・・・
… 96無題Nameとしあき 20/01/21(火)23:20:50No.19351672そうだねx8
それはお嬢様が外へ遊びに行った日の事でした。
天気も良く、お嬢様は学校から帰ると友人と遊びに行くと行って外へ出掛けました。
暫くすると一天俄かに掻き曇り、激しい雷雨に見舞われたそうです。
傘も持たずに出掛けたお嬢様を心配した旦那様が雨具を着て迎えに行こうとした時、着物をずぶ濡れにしたお嬢様が息も切れ切れに玄関に飛び込んできました。
旦那様は女中にすぐ風呂を沸かすように指示し、お嬢様を自室に連れて行き着物を脱がせました。
唇を真っ青にして震える姿を目にした旦那様はお嬢様の身体を拭き上げると、そのまま寝室の布団に連れ込んだそうです。
歯の根も合わないくらいに冷え切った身体をさすりながら、旦那様はお嬢様を抱き締め必死になって温めました。
泣きながらすがり付いてくるお嬢様を抱き締め「大丈夫だ・・・大丈夫だよ」と濡れた髪を撫でていたそうです。
どれくらいそうしていたのか、旦那様の体温がお嬢様に伝わり、お嬢様は足を絡めたまま小さな寝息を立てて眠ってしまいました。
これまで間近に見る事を避けていたお嬢様の寝顔を見た時、旦那様の心の中で形容し難い「何か」が蠢き始めたのはこの瞬間でした。


98無題Nameとしあき 20/01/21(火)23:38:51No.19351760そうだねx16
皆さま、こんなツマラナイ駄文を楽しんで頂き、ありがとうございます。
こんなに長くなるとは自分でも思いませんでしたが、可能な限り妄想をコンパクトにまとめて完成させたいと思います。
また明日の夜、続きを執筆しますので暫しお待ち下さいませ・・・
… 99無題Nameとしあき 20/01/21(火)23:42:40No.19351786そうだねx1
場合によってはまとめた文章を塩に上げても良いかもしれぬね…
いずれにせよ楽しみに待っておるよ…
… 100無題Nameとしあき 20/01/21(火)23:46:23No.19351824そうだねx2
匿名掲示板に偶に悪魔か神が降臨するな
… 102無題Nameとしあき 20/01/22(水)00:56:07No.19352081+
願わくばこの小説が誰かに見出されて
新しい絵画が創り出されますように―――
… 103無題Nameとしあき 名も無き草葉20/01/22(水)01:08:38No.19352134+
>願わくばこの小説が誰かに見出されて
>新しい絵画が創り出されますように―――

作者から一言・・・
この物語に関してはコピーレフトです
コピーレフトです
パクリ、下敷き、原案、原作、なんでもありで自由に使って頂きたい
薄い本大歓迎!
願わくば私以上に文才のある御方に推敲してもらえると嬉しいです

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