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ふたば/TOA怪文書/アシュナタ

あの名文をまた読みたい人用の保管庫

スレッド:http://img.2chan.net/b/res/492580313.htmより
作者:不明

ルーク・フォン・ファブレとナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアの儀礼的婚姻が終わった日
新郎新婦となった二人は豪奢極まる一室に押し込められ、今まさに初夜を迎えようとしていた
部屋の入口には物々しい装備の警備兵が列を成して待機し、部屋への侵入と脱出とを妨げている
ありとあらゆる方面からこの初夜の重要性を突き付けられていた二人は、無意識のうちに抱いていた逃避願望を早々に捨て去っていた
「……お風呂、先に頂きましたわ」
俯くナタリアの傍を無言で通り抜けるルーク。その顔は薄暗い室内照明で半端に照らされて見え辛くなっていた
闇の中で曖昧になったルークの輪郭に二人分の影を見つけてしまったナタリアは己の眼を呪い、歪んだ顔を反射的に手で覆い隠した
それからルークが風呂を終えて帰ってくるまでの間、背を曲げてベッドに腰掛け心の中で「違う」と唱え続けた

初夜に臨むにあたり、二人は両家から万全のバックアップを得ていた
前記の通り部屋には鼠一匹の侵入も決して許さない厳重な警備が敷かれている
ルークの食事は一週間ほど前から精のつくものが中心となった献立に変化していた
更に性知識。公人としての教育に時間を割かれ満足な性教育が受けられなかった二人を慮って専門の教官が配属され、互いを悦ばせるための技術を教育した
ナタリアもルークも決して覚えが悪い訳ではない。人形相手に完璧な動作をしてみせた二人に教官は太鼓判を押し、お世継ぎが産まれる日も遠くないと歓喜した
あてがわれた部屋は家具の色調から見下ろす風景、空中に漂う香りに至るまで徹底的に計算し尽くされており、館の一室とは思えないほどの淫靡さと美しさに満ち溢れいる
それでも。それだけの援助を受けても尚、ナタリアの心は乾ききっていた。それはルークも同じであった
多くの人が幸福と信じてやまない二人の一夜は、当事者達にとって精密に構築された地獄でしかなかった

風呂を終えたルークが部屋の明かりを完全に消したのは羞恥心からではない。ただ、ナタリアが己の顔を見ず済むようにと計らった心遣いだった
「始めるぞ」
声が届いた瞬間、怯える子供のように身を縮め強く目を閉じるナタリア。その繊細な心の機微を指先の震えから察したルークは一刻も早く終わらせようと懸命に彼女の体を撫で続けた
五分。三十分。一時間経ってもなお、二人の内心に火は灯らない
ただ闇の中で蠢き続ける自らを俯瞰したルークは、その無様を倒してきた化け物のようだと自嘲する事しかできなかった
「もう十分です。挿れてください」
それは顔を腕で覆い隠したナタリアの、深い諦めから発された言葉だった
ナタリアの膣に潤いが足りていないのはルークから見ても明らかであったし、ルークの陰茎も全くと言っていい程勃起していない
だが、だからといってナタリアの懇願に反論する言葉を持たないルークは、彼女に従う他なかった
行為の手を止めたルークは、メイドの一人に予め渡されていた小瓶の中身を一気に飲み干す
それは毒だった。フォニムドクシボグモと呼ばれる蜘蛛の毒には、強烈な苦痛と不快感を引き換えに陰茎を隆起させる作用があった

痛い程腫れあがった己の陰茎をナタリアの秘所にあてがうルークの顔が痛苦に歪む
ナタリアに見せずに済んだのがせめてもの幸いだったと、そう思う他には何一つ慰めが見つからなかった
完全な潤滑不足の状態にあるナタリアの膣口はルークの侵入を拒み続け、それでもと強引に破り進もうとする度に二人分の苦悶が漏れ出す
ようやく処女膜を姦通した頃には、二人共痛みに涙を浮かべ心身の疲労から肩で息をする有様だった
それでも自分から動かなければこの状況は決して終わらないと理解していたルークが腰をナタリアにぶつけたその刹那、痛ましい悲鳴が部屋中に響く
いつかの記憶と重なる、その悲痛極まる声に気圧されたルークは思わず腰を引き、ナタリアの膣から己の陰茎を引き抜いた
「ごめんな、ナタリア」
自然と謝罪の言葉が出るのもルークにとって無理からぬ事だった。ただ、それが彼女にとって最も残酷な仕打ちだったと気付くまでに要した数秒を、ルークは心の底から悔やんだ

仮にアッシュなら、ルークが完全なアッシュであったなら決してここで引いたりはしない
ナタリアが泣こうが喚こうが、それでもこの地獄を終わらせるために前に進んだはずだ。いや、そもそもこんな哀しいだけの逢瀬になるはずがない
だがナタリアには今のルークを責める事はできなかった。それだけはしてはならないと、彼女は己を強く戒めていた
「う、うっ……」
誰が悪い訳でもない、ただ世界に引き裂かれた末の結末に、ナタリアは溢れ出す涙と嗚咽を堪えきれなかった

実時間にして二時間が経過した頃、部屋の雰囲気はもう行為に及べるような類のものでなくなっていた
幼子のように泣き続けるナタリアの手を握る事しかできないルークには、この胸が締め付けられる責め苦が永遠に続くように思えた
奈落に向かって螺旋を描く思考と耐え難い悔恨の念がお互いの心中を見たし、相手の事を思いやる余裕を失わせていた
そして未来。結婚した二人は、永遠に引き延ばされた夜を毎日のように味わうだろう
同じ部屋で、同じベッドで、世継ぎが出来るまで闇の中で行為を繰り返すのだろう
そんなごく当たり前の未来は、二人の絶望を肥大化するに足る暗黒だった

完全に黙り込んでしまった二人を包む部屋の静寂は、廊下の方から響く大きな物音で初めて崩された
メイドや警備兵の慌ただしい足音が離れていくに従って、物音はどんどん近付いてくる
武器を構えた二人の目の前で扉から転がり込んできたのは大きな人形と侵入者、アニス・タリトンだった
「あ……ご、ごめん……ねぇ!ティア知らない!?今朝いなくて、皆で探して、どこにもいなくて……!」
涙を浮かべる目の下に濃いクマを作ったアニスの言葉は珍しい程にたどたどしく、二人は理解にしばらくの時間を要した
だがやがて事態が国の保護観察下にあったティア・グランツの脱走であると判明してからのルークの動きは迅速だった
日々の苦労と今回の心労が重なり今にも倒れそうなアニスをナタリアに預け、服を着こんで足早に部屋を出ていく
「ねぇ……私達……これからどうなっちゃうのかな……」
その問いに答える者は誰もいない。ナタリアはベッドの上で弱り切ったアニスを強く抱きしめ、奥歯を噛み締める事しかできなかった



ふぁぁ……んあ?ハハハ坊よそう忙しく肩を揺らすな、今宵はここまでじゃて
そう怒るな……あくまでこれは寝物語。結末まで話しきると明日の愉しみがなくなるじゃろう?
ベルベット達も寝ておるし、なによりワシがもう眠い。寝る魔女は育つが寝ない聖隷は背が伸びんぞー
次回『テイルズオブザレイズ・レイドイベント!怪人マスクメロンと悲しみのマギルゥ』に乞うご期待じゃ
……しっかたないのう、坊の情熱に免じてあやつらの今後だけ占ってしんぜよう
そーれフィッチ・ウィッチ・フィッチ!
ほほう。なるほどなるほどこれは興味深い……ハハハ、結果を教えるとはひっとことも言っておらぬぞ坊
未来は魔女のみぞ知るってわけでおやすみマギンプイじゃよー!

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