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2ch/十二国記エロパロ/驍李

あの名文をまた読みたい人のための保管庫

スレッド:2chエロパロ?
作者:不明


04. 絡みとる糸




しどけなく寝そべる女の姿態は常より増して艶かしい。
それが普段は決して見せることのない顔だから、艶が映えてえも言えぬ色を醸し出していた。
男は指に絡めた彼女の髪をたぐり寄せながら眼下に広がる光景を一巡し、満足そうに笑った。

見上げる瞳は僅かに潤み、視線を返せば睫毛を伏せる。
逸らした視線を交えることなく女は染まった頬をさらに赤らめ、固く結んだ唇から漏れる吐息を指で覆った。
そんな仕草の一つ一つが愛しいと思う。
もはや触れていない部分など無いというのに、今だってどうだ、指が触れただけで熱の冷めない身体は小さく震えている。
男は女の反応を逐一確認するようその肌に指を滑らせた。
なぞる指の動きに合わせて喘ぐ女は頭上の敷布に逃げるように縋った。


他の男にこれを見せてやりたい。
喰いこむ肌も、切ない鳴き声も、これは自分だけのものだと見せ付けてやりたい。
この衝動を抑えようとは思わない。
内に広がる欲望を自覚するのに幾らも掛からなかった。
男は手元にあった酒杯に手を伸ばした。
肌蹴た胸元に滲む汗の雫が輝く。
その上を硝子の盃から零れた酒が雪の肌を伝って衾に落ちた。
ほんのりと熱を持って薄く染まる肌に舌を這わせ、滴り落ちる雫を追って濡れる身体に熱を与えた。
両腕を奪えば捕われた獲物は逆らうことなく、色よく鳴きながら自分を受け入れた。
その声。
その艶。
全てが自分の為にある。
ただ一つを除いては。


「  」

その名を呼べば応えるように女の身体が震えた。
震えて、躊躇うように伸ばされた腕が褐色の肌に絡みついた。
男は女の額に唇を落として一言も発することなく彼女を抱き寄せた。

女の本心がどこにあるのか分からない。
自分と彼女の間には男と女として、…人と人として特別な感情があったはずなのに、今となっては確かなものではない。
我々は変わってしまった。
あの短すぎた夏の日、自分を前に穏やかに微笑む彼女にもう二度と会うことはないのだ。


男は女を抱き締めた。
重い瞼を閉じ、ゆっくりと息を吐いて、ただ彼女の熱にその身を埋めた。
自分が思うよりも強く、彼女を抱き締めていた。






(06.09.05.update)

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